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自殺カルテ

許されないとはわかっていても

これ以外の手段を私は知らない

そこから逃げ出すことすらできない

君の臆病さが  唯一の安定剤

 

傷つけたがりの教室が

目の前で手を繋いで通せんぼう

理性を保てるその術を

どこかに置き忘れた私は

 

最後に笑ったのいつだっけ

泣けない夜はどう過ごしたっけ?

 

 

一滴の涙も流さないように

私の病名を  カルテに記して

愛されたいなんて言えなかった

不器用だった少女の夢を見てた

 

 

自分の人生が不正解に思えて

酷く曖昧な正解を欲しがった

「青い空がきれい」だとかいうから

今夜も君の無自覚が襲い掛かる

 

見えない敵を作っては

主義主張を正義に押し付けて

ルサンチマンだけが積もっていく

まだ希望を捨てるには早いよと

笑顔で逃げ道を奪っていく

他人の痛みには鈍いこの街は

 

 

生きたいときに生きれない

死にたいときにこそ死ねない

 

 

一縷の望みも残さぬように

私という汚名を  カルテに記して

愛されたいなんて思えなかった

かわいそうなあの娘の夢を今も見てる

 

 

孤独が罪なら  優しさが毒なら

道徳が呪いなら  同調が正義なら

心が飾りなら  涙が弱さなら

愛が偽りなら  愛が幻想なら

 

逃げていいよ  捨ててもいいよ

弱さも強さも君自身で決めればいいよ

 

こんな自分勝手で最低な

醜い私を来世に書き記してよ

 

 

涙さえも忘れてしまうくらい

幸せな最期に有り付けるように

愛されたいなんて思わなくてもいいよ

泣きじゃくる君を抱きしめるため

 

私は選んだ  この道を選んだ

後悔なんてしてやるもんか

私はようやく  私になる

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